2021/02/23

新興国の通貨安、そして株安のトレンドが止まりません。
このトレンドを受けて、新興国株を逆張りで買うべきなのか考えてみました。
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対ドルでの通貨安がアジアまで波及
8月のトルコリラ急落から始まり、アルゼンチンペソ、南アフリカランド、、そしてついにアジアの通貨にまで波及してきました。
インドネシアルピアは対ドルで98年のアジア通貨危機以来の水準まで下落しました。
月足のチャートを見てみますと、2015年の安値を更新してルピア安トレンドは勢いに乗っています。
フィリピンペソもどんどんドル高になっていきます。ドルが利上げしていますので当たり前といえば当たり前ですが。
新興国株も下落
もちろん株式も下落しています。
新興国株式の代表的な指標であるMSCIエマージング・マーケット・インデックスの月足チャートを見てますと、2018年1月を高値に下落し続けていることが分かります。
一方、米株の三大指標の1つであるS&P500を見てみますと、リーマンショック以降ずーと上昇基調を継続しています。2018年2月のVIXショックも克服し、新高値を更新しています。強い。
新興国株と米株を2008年1月を基準に比較して見てみますと、新興国株はリーマンショック以降は米株をアウトパフォームしていましたが、2011年の米国の財政懸念とユーロ圏債務危機の深刻化の影響を受けを理由に、欧州向け輸出の減少等が重荷となり減速傾向が目立ってきてパフォーマンスが逆転し始めました。
2018年9月時点でのパフォーマンス結果は雲泥の差となっています。これを割安とみるのかどうかですね。。
理由の1つに、米金利上昇が上げられます。
リーマンショック以降はアメリカは経済復興に向けて低金利の状態を維持していたこともあり株式相場にとっては適温相場が続いていましたが、アメリカは経済が回復してきたことで金利正常化を掲げたことで、資金がアメリカに逆流し始め、新興国通貨は更に厳しくなってきました。
また、米低金利時代にドル建てでめちゃくちゃ借金して設備投資していたこともあり(しかも短期で借金)、徐々に新興国企業の債務返済リスクが顕在化してきました。
直近の新興国株下落の理由としては、米中貿易摩擦もあります。
MSCIエマージング・マーケット・インデックスの構成比の半分以上が中国・韓国・台湾の3か国で構成されているため、直近の上海総合指数の下落を考えれば指数の下落も頷けなくはないですが、中国のサプライチェーンに組み込まれている中国周辺国の下落の影響も大きいはずです。
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ここからはチャートをテクニカルの視点で見てみたいと思います。
新興国株指数の月足チャートに線を引いてみました。
①はアメリカFRBが9年半ぶりの利上げを決定し、世界経済を大混乱に落し入れたためです。2011年から続いた三角保ち合いを下抜けしましたが、2017年は世界的なリスクオンの流れに加え、低インフレ・利下げも重なり、新興国株は先進国株を上回る上昇を見せ、一気に三角保ち合いの下値支持線だけでなく、上値抵抗線もブレイクしました(②)。
注目すべきは2018年1月を境に続いている下落がどこで止まるかですが、期待したいのは2017年にブレイクした上値抵抗線です(③)。
週足チャートで見てみますと、節目らしい節目がないため、200日線までは下がるかもしれません(①)。
買われすぎ売られすぎを示すRSIを見てみると(②)、まだ売られすぎのシグナルは出ておらず、もうひと下げあることが読み取れます。
日足チャートは200日線が下向きになり、厳しい状況が続いています。しかし、50日線と攻防を見てみると、4月5月と超えれずにいたのに、7月末、8月末には50日線の上に滞在できるようになってきました。あと数回チャレンジしたブレイクできるかもしれません。
新興国株を買うべきか
月足チャートを見ればわかる通り、弱気トレンドが未来永劫続くことはないと思いますので、買い向かうべきだと考えています。
しかし、問題はタイミング。しっかり、底打ちを確認してからでも遅くないでしょう。
下落の理由の1つであった米金利上昇については、そろそろ長短金利が逆転する可能性もでてきたため、利上げはあと数回で終わると想定されています。
問題はもう一つの理由である米中貿易摩擦。関税引き上げ合戦が続いていますが、中国はアメリカより輸入額が少ない分、撃てる弾が限られています。貿易戦争は仕掛ける側が有利と言われていますが、習近平がこのまま黙って負けを認めるのか、それとも一矢報いるのか注目です。
もし中国がこのまま黙って終わるようであれば、アメリカ一強時代継続ということで、アメリカ株だけ握りしめておけばよいと思います。
このように考えるとポイントはやはり11月の米大統領中間選挙でしょうか。ここで材料出し尽くしになれば、MSCI新興国株指数は週足チャート的にもちょうど200日線で反発するあたりかもしれません。