2022/01/17

リーマンショック以来11年ぶりとなる大暴落が起こりました。
2020年3月のNY市場では歴史上発動されたことがないサーキットブレーカーが立て続けに発動されているぐらいの異常事態です。1日で10%近く資産が溶けることもめずらしくありませんでした。
そして、3/23に底を打ってからV字回復の様相を漂わせる上昇が現在まで続いています。
さてさて、この大暴落を受けて株式投資への長期投資について色々考えているのですが、長期投資家にとってその時点での「評価額の確認」は無駄、とまでは言えませんが、邪魔だなと思えてなりません。
あれこれ考えていたらあながち屁理屈でもないなと思えてきたので、「評価額の確認」に関して考えを整理してみたいと思います。
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邪魔な感情が生まれる
あっという間にと減っていく含み益を眺めていると「今のうちに売ってもっと下がったところで買い戻そう」とか「株のことなんて考えていたくない、全て売却してしまいたい」なんていう非合理的な思考に陥りがちです。
お金が減るのは怖いことなので仕方のない感情かもしれません。
でも、株式市場においては感情に左右される行動ほど勿体ないものは無いのかなと思っています。
含み益の状態のうちに利確して、株価が想定通り下がったとしても、含み益が減る状態を耐えれなかった人が感情を押し殺して器用に買い戻せるかというとおそらく無理だと思います。
結局買い戻せず株価が上昇していくのを指をくわえて眺めているのが現実かなと思います。株価の上昇の芽は懐疑の中で育つものなので。
器用に売買できそうにないならば、シーゲル教授も推奨している通り、バイ&ホールドで配当をもらい続けて、下がったところで定期的に買い増す方が無難です。
亡くなっていた人の口座のパフォーマンスが一番よいなんていう調査結果もありましたし。
このように考えていくと、評価額の増減で売買のジャッジを下してしまうようならば、いっそのこと評価額は見ないほうがいいのかなと思えてしまいます。
屁理屈かもしれませんが、自分の行動をコントロールするという意味ではいい行動なのかなと思います。
避けて通れない
株価の大暴落とは今回のコロナショックのように直近数年分の上昇をほんの数週間で”無”にしてしまいます。
そしてそんな大暴落はだいたい10年前後の頻度でやってきます。
老後を見据えて20年、30年以上のスパンで投資を行うならば大暴落は必ず経験しなくてはいけないということになります。
そして下記の記事でも書きましたが、長期投資家を名乗るならば株価大暴落を1,2回経験することは必須でもあると考えています。必ず経験しなくてはいけないのと、暴落を経験しないと長期の累積リターンを増幅できないからです。
ジェレミー・シーゲル教授の『株式投資の未来』を見ると誰でも株式投資で成功するように思えてしまいますが、とてもとても険しい道のりです。
大暴落は長期投資に対する参入障壁のようなものです。参入が困難だからその分参入できた時の恩恵が大きい。
寝て起きたら30年後になっていたい。
そんなことしたら人生持ったいたいんですが、そんな気分にさせてくれるのが大暴落です。
それならいっそのこと、寝てるじゃないですけども「評価損益は見ない」というのは手段として大いにアリなのかなと思います。
投下資本が増えるほど葛藤が増える
長期投資家になるにはとても達成が困難は参入障壁があるという話をさせて頂きましたが、困難な理由はもう1つあると考えています。
それは、株式投資に投下した資本が増えれば増えるほど株価大暴落を通過するのが困難になるというジレンマです。
鞭のようなイメージでしょうか。
最初は振れ幅が小さくいですが、先端に行くにつれて大きくなっていく。
投資期間が長くなればなるほど、資産額が増えれば増えるほど、大暴落時の資産の減る額は大きくなる。
正直なところ今の私にとっては無理ゲーです。
今の資産額だから耐えれていますが、1,000万2,000万となったときに耐えれるかどうか。2,000万運用していた場合、20%の下落で400万。30%の下落で600万が無くなってしまいます。
しかも、今回の大暴落はキャッシュポジションを40%近く保った状態で望めましたが、10年後はそんんなに多くのキャッシュ比を保つことはできないでしょう。そんなに給料あがらん。
倹約に励んでコツコツと貯めたお金が1ヶ月で一気に月収の数倍、年収に匹敵する額が消える。こんなシチュエーションが必ずやってくるのです。
「評価損益は見ない」という甘い手段では鞭の先端部分の荒波を乗り越えることはできないでしょう。
長期投資に対する考え方を根本から変える必要がありそうです。
解決策①:長期投資の定義を改める
長期投資とはなんぞや、という定義を改めることは必須かもしれません。
10年間20年間保有するという時間軸の話ではなく、株主となって企業の一部を保有し続ける、という考え方に切り替えないといけないのかなと思います。
株価の値動きで評価するのではなく、企業の業績や中長期計画をチェックして将来の行く末を予想し、見届け、応援し、最後に利益を配当として甘受しする。株主として、まるで社外取締役であるかのように(大袈裟ですが)。
今更感満載ですがシーゲル教授の調査データに酔わされて「投資とは」という根本的なことを忘れていたようです。
株価を時価ベースで気にするのではなく、損益計算書やキャッシュフローといったファンダメンタルズ、中期経営計画やSWOT分析を通じた事業のビジョンや将来性を通じて投資先を選定できれば、短期の視点を持つこともなくなるのではないでしょうか。
バフェットさんが好きな投資期間は永遠だと言っているように、投資を決断した時の企業やその企業を取り巻く環境が変わっていないのであれば保有し続ける。
これが長期投資家としての正しい振る舞いなのかもしれません。
解決策②:フロー重視へ
企業の一部を保有するという考え方にシフトしていこうと述べた矢先ですが、投資家としての評価もそれなりに行わないといけません。
個人投資家の目指すべきところは人それぞれですが、私の目標は老後の個人年金形成です。
企業の一部を保有して、企業の成長に乗っかって自分の資産を増やしていきますが、この思想はあくまで手段で、目的は毎月の入金額の最大化です。
キャピタルゲインではなくインカムゲインを狙っています。
それなのに毎月のポートフォリオの定点チェックを評価額で行っているのってどうなのよ、という話です。
それはおそらくですが、いくら配当といキャッシュが入ってきても、配当を生み出す母体が長期間保有しているにもかかわらず元本割れだとメンタル崩壊してしまうからでしょ。
いくら建前でインカムゲインを求めていますといっても実際は長期間保有するならキャピタルゲインも欲しいのが人間です。欲の塊ですので。
このまま書き続けると銘柄選定やバリュー株の是非に関する話になってしまいそうなので一旦ここで終わります。
つまり、下記のように認識した上で定点チェックを行っていく必要がありそうです。
- 評価額は長期保有のための精神安定剤
- 配当入金は実益
- 重要度は配当利回り>>評価額
毎月のポートフォリオの定点チェック方法を見直したばかりですが、現在の予想配当利回り等を重視して見れるように変えていきたいと思います。
解決策③:バーチャルへの陶酔
投資期間が長くなればなるほど、暴落時の評価額の増減幅は大きくなります。
これを克服するためには、評価額を見ないでは済まされないでしょう。
トレーニングを積むしかないのかもしれません。サーキットブレーカーが発動しても資産の減り具合に対して目を背けないというトレーニングです。
この場合は見ない方が心が落ち着くと思いますが。。
証券口座にある資産は配当を生み出すマシーンであって、自分のものではない。
一応数字を見えるがそれはバーチャルの数字。
現時点では何の意味もない数字。30年後40年後に売却するときに初めての意味のある数字になるのです。
気にしても仕方がない数字です。
必要経費。だったら見なくていい?
このように証券口座の数字を見れるようになるまでトレーニングしましょう。
今はここ前しか言えません。私は所詮100万程度の下落で済んだ人間なので、まだ経験したことないことの対策をすることはできません。
ただし今のうちから準備はできます。次の暴落に向けて鍛錬を重ねたい。このコロナショックはまだ終わっていないと思われますが。。
まとめ
株価の大暴落は楽観的になってしまう自分への戒めとなります。
真の長期投資家になるべく、鍛錬に励んでいきたいと思います。
企業への投資は、「企業の一部を保有している」ことであると心得て、
一時の評価額に惑わされることなく、
配当収入にこだわり、
大暴落を経験して乗り切る。
このサイクルを今回のコロナショックとは別にもう1度回せれば、それなりの長期投資家になっているでしょう。
問題は資産額が増えた時の対処法です。
この対策についてはじっくり考えていきたいです。
それにしても、今の所私が保有している銘柄については、どの企業も保有して良かったと思える企業ばかりです。
就職できるものなら喜んで就職したいです。特に三菱商事については就職できるものなら今すぐ入りたい。Windows2000になってボーナスたくさんもらいたい。
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関連記事です。
私が大暴落時に投げ売りせずに済んだ理由の1つに納得のいくポートフォリオを組めていた、ということもありました。
大暴落時に投げ売りしないためには、多少PERが高くて配当利回りが低くても、高成長で値上がり益が期待できる銘柄をポートフォリオに組み込んでおくと、精神的に助かる気がしています。