2022/01/17

FRBは2021年3月17日のFOMCで「少なくとも2023年末までは利上げはしない、量的緩和もまだ縮小しない」という方針を発表しました。
これを受けて、今後の米国株への投資スタンスを整理したいと思います。
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FOMC後も長期金利は上昇
FRBが今後の金融緩和の方針を説明したことで短期金利は当分0水準に留められますが、FOMCで長期金利の上昇抑制に関する牽制はなかったことからFOMC直後は長期金利は下がりましたが、翌日以降SLR終了等のニュースを受けて再び上昇し、株はナスダックに代表される高PER株を中心に売られています。
ただし、米10年債利回りとナスダックのチャートを並べて眺めてみると、長期金利は上昇一辺倒なのに対し、ナスダックは金利上昇の耐性がついてきたのか、長期金利の急騰初期段階のような下落一辺倒という訳ではありません。
金利急騰、そして今後の更なる上昇による株式のバリュエーションの変更によるポジション整理がひと段落してきたのでしょうか。
金利急騰時は株は売られるが、金利がなだらかに上昇しているときは株安には繋がらない、とよく言われているますが、直近の動きはこれが理由になるのでしょうか。
一般的には「長期金利上昇≠株安」
長期金利は今後もそれなりに上昇し続けるだろうと思われます。
なぜなら新型コロナのワクチン普及によって経済活動が本格再開されるからです。
また、銀行株が長短金利差拡大による利ザヤ拡大で貸出が増え、企業の投資も増え、経済はより活性化されることも、更なる金利上昇を後押しすると思います。
実際に、景気回復期の上昇トップバッターである銀行株が長期金利上昇による長短金利差拡大を受けて再び再上昇に転じました(※20日深夜のNY市場では、SLRが延長されないと発表されて銀行株は急落していますが。。)。
将来の景気が良くなるというの見通しがあるのだから「金利は上がって当然」という訳ですね。
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そんな長期金利上昇局面において株価がどのように動くかを調べてみたいと思います。
実際に過去2回の大暴落であるITバブル崩壊とリーマンショック後のチャートを見てみると、は長期金利が上昇中に株安になっているかというと決してそういう訳ではなく、どちらのパターンにおいても長期金利上昇中は株価も上昇していることが見て取れます。
平均と言っても過言ではないS&P500で見ているからうまく話しの辻褄が合っているように見えるかもしれないので、高PER株が多いナスダックのチャートも合わせて貼っていますが、S&P500と同様の傾向を持っていると見て取れます。
<株と長期金利の関係 ITバブル崩壊後(2002年~2004年) 月足チャート>
<株と長期金利の関係 リーマンショック後(2011年~2016年) 月足チャート>
あくまで月足チャートで見ているからこういう結論になっているだけで、日足チャートで見ると高PER株と長期金利は逆相関の関係にあるかもしれませんが、それは短期目線とも言えますので、長期投資家にとっては誤差と捉えてしまってもいいのではないでしょうか。
バブルはいつまで続くのか
最近、金利と景気と株価の関係について調べました。この知識をつかって株価上昇はいつまで続くかを素人ながら予想してみたいと思います。
上記知識を使って長期金利と短期金利を使って景気を4つのフェーズに分割してみると、現在は短期金利がセロ水準で長期金利が上昇に転じていることから「①回復フェーズ」にあたると考えられます。
過去の経験則から学ぶと、景気が良くなってくるとバブルにならないように中央銀行が短期金利の利上げに踏み切りますが、その段階は「②過熱フェーズ」にあたり、株価がピークをつけるであろうタイミングは「③減速フェーズ」経過後、すなわち長短金利差マイナス解消後の「④不況フェーズ」になります。
この経験則を現代に当てはめてみると、少なくとも利上げが開始されるのは2024年以降になることから、2024年より「②過熱フェーズ」が始まります。
そして、利上げはあらゆる経済指標を丁寧に観察しながら慎重に判断され、過去の経験則から利上げ期間はだいたい2~3年程度かけてじっくり行われます。
利上げが早まったり利上げの間隔が短くなることを前提に置いて想像してみると、利上げ開始が2023年後半~2023年末、利上げ期間が1.5~2年程度なので、利上げ終了は2025年後半前後?。なので「③減速フェーズ」に入るのは早くても2025年後半ごろ。
そして、2025年後半~2026年初めにかけて「④不況フェーズ」に突中。
このように予想するならば、株バブル終了は2025年後半付近。。
もちろんその間に株価は大きく上下動を繰り返すことが十分に考えれますし、FOMCが観察する経済指標次第では早めの利上げ、量的緩和の縮小も考えられますし、株式市場の織り込みの速さ次第では、バブル崩壊のタイミングは早まるかもしれませんし、その逆も十分に考えられます。
実際に過去2回の大暴落であるITバブル崩壊とリーマンショック後のチャートを見てみると、そして、株価が大暴落するタイミングはどちらも長短金利差がマイナスになる「③減速フェーズ」終了後の「④後退フェーズ」です。
<株と長期金利の関係 ITバブル崩壊後(2002年~2008年) 月足チャート>
<株と長期金利の関係 リーマンショック後(2011年~2020年) 月足チャート>
過去の金利と株価の関係が今後も続くのであれば、現段階で弱気になるのはもったいないでしょう。
少なくとも長短金利差がマイナスになるまではガチホしたいところです。
懸念はやっぱり長期金利のダウントレンドですね。。
利上げの上限が限られるため利下げの効果が薄められて、お金をガンガン市場にばらまいてすぐバブルになり、急いで利上げしてリセッション。。
景気サイクルが早まる可能性としてアリではないでしょうか。
実際に今回の大暴落であるコロナショックは利下げに加えて、財政出動までしていますしね。金が市場に溢れかえっている。。
楽観はせずに、主要な経済指標はしっかりウォッチしていきたいところです。